ケーススタディ < ソフトバンクBB株式会社 様 >
導入事例
「自社にある情報をコントロール/開示権限を持つことで、自由な情報利用を促進する」ことを目指した、 InfoUnity MONO の導入事例です。
< InfoUnity MONO 導入前の状況 >
ソフトバンクBB株式会社(以下ソフトバンクBB)の流通事業部門では、Webや店舗を通じて販売された商品販売データを基に多角的な分析を行い、日々の業務を遂行している。当然このデータは利用頻度が高く、特に月初などはデータの利用が集中するため、情報システム部門が各部署からの要求に応じてひとつひとつデータを提供していたのでは業務が滞ってしまう。そこで情報システム部門はあらかじめ必要なデータを基幹システムから抽出し、集計・テーブル化した後、独立したEUC(End User Computing)サーバへデータを投入。各部署のユーザは情報システム部門から集計用に配付されたツールを用いて、各自EUCサーバからデータを取得することとした。
当初は効率的に機能するものと期待されていたこの方式だが、徐々に問題が生じてきた。
まず集計用として各部署に配付したツールのメンテナンスに多大な労力がかかるようになった。このツールは情報システム部門がAccessを用いて作成。配付されたユーザは自己のPCにインストールして利用していたが、部署により必要とするデータ項目が違うケースもあるため、集計ツールをカスタマイズする必要が生じた。また情報システム部門が配付したツールとは別に個人が独自に作成したツールなども存在したため集計ツールの共通化が図れておらず、ツールのバージョンアップに手間がかかってしまう原因となった。そして頻繁に行われる組織変更や管理基準の変更が、より一層の拍車をかけた。
EUCサーバ側にも問題があった。情報システム部門が用意したデータは汎用性を持たせるためにマスタの持ち方や内部データの持ち方が複雑なため、多少なりとも経験がないとデータを集計するのが難しい。そのため業務が滞ってしまうこともたびたびあり、当初期待していたほど業務の効率化が図れずにいた。
さらに情報漏洩対策という、新たな課題も生じていた。ソフトバンクBBでは「情報セキュリティ管理体制の構築・強化」に全社を挙げて取り組んでいるが、その一環として社内のデータ利用に関しても詳細な権限管理規定が定められた。今までもユーザがEUCサーバへログインを行う際にはID・パスワードによる認証が必要であったが、セキュリティレベルの区分けが細かくなった上に組織変更が頻繁に行われるため、情報システム部門にかかる負荷がさらに増大し、管理作業に対応しきれない恐れも出てきた。また会社の基本ポリシーとして、「誰がどのデータにアクセスしたのか」をログとして記録することが新たに求められた。
< InfoUnity MONO 導入後の状況 >
< 導入後インタビュー >
-今まではツールのメンテナンスに非常に苦労されていたということですが。
[お客様] はい。Accessに詳しい人が自分で作ったクエリーや、何世代も前のクエリーツールが各部署で引き継がれていたりするので、どういう種類があるのかも把握しきれていませんでした。
独自にクエリーを作ってしまっているツールを各自のPCにローカルで持っているのが現状でした。それに対するメンテナンスは個々にバラバラにやっていたので、その部分を解決しようと。つまり InfoUnity 側に今のクエリーとなるものを全部置いてしまおうという発想です。社内でその部分を一元化し、管理したいということですね。
それに今まではEUCサーバにあるデータは部長から新入社員まで同じものを見ることができたので、これも何とかしなければならなかったわけです。最初から権限で与えられた範囲のデータを InfoUnity 側で、営業部門、仕入部門、管理部門とそれぞれに見せるテーブルを分け、グルーピングしましょうということですね。
-権限管理をすることで工数削減にもなるわけですね。
[お客様] 権限によって選べるデータを制限することによって、余計なものを選ばなくて済む、というか、抽出の選択が狭まるじゃないですか。そこでチョイスする部分だけでも工数は減ると思います。今まではユーザが「これっているのかな、いらないのかな」と悩んでしまう場面がありましたが、もともと不要なデータ、使ってはいけないデータはあらかじめ削ってあげれば良いので。
-今までそれはすべてユーザが判断しなければならなかったわけですね。
[お客様] そうです。「こういうデータはどこにあるんですか」「これはアップされていますか?」という問い合わせも日々あるので、その対応もする必要がありましたが、「あなたはここまでしか見ることができませんから、この中でやってください。」というふうに指示できるようになりました。
-InfoUnity の機能で特に注目されたのはどの部分ですか。
[お客様] ひとつは、やはりログ取得の部分ですね。これはなくてはならない要素だったので。あとは、先ほどのアクセス権限のところですね。
セキュリティ強化とアクセスの権限を設定することによって、要は負荷が下がって、早く使えるようにしよう。効率化の部分と、それに合わせて使いやすさというか、入りやすいというのがありますね。
-アクセス管理ということで、実際にどの位細かく権限管理されるのでしょうか。
[お客様] まだまだこれからですよね。営業、仕入れ、管理、そこからまた細分化されますけど。
敢えて言うならもうひとつ、情シス部門というのがありますけど、現場で運用するのは基本的にはその3つですね。
-その3つに対して、役職ごとに権限を設定するということですか。
[お客様] ゆくゆくは運用しながら細分化させていくつもりですけど、まずは最低限その3つから始める予定です。
いきなり現場/マネージャー/部長とか、統括とかに分けても複雑になるだけなので、まあ運用状態を見てからになるかと。
-組織変更もかなり頻繁に行われると伺ってますが。
[お客様] 組織変更といっても、大きく部門が変わるわけではないですけれども、内部的には結構ちょこちょこ動きますので。また例えば数字を拾うっていうのであれば、営業的に数字を拾うのか、バイヤー的に、その商品管理っていうので数字を拾うのか、そういうところでも権限とかを変えていきたいとか、いろいろありますね。
-どのくらいのユーザでお使いになる予定ですか。
[お客様] 実ユーザ数でいうと150から200というところだと思いますが。
アカウント発行数でいうならば、1,000近くですね。ただ実質アクティブにガリガリ使うかどうかっていう話になってくると、まあ150から200ですね。
-ログの取得が必須ということでしたが、現状はどのようにログを取得されていたのですか?
[お客様] 実際のところ取っていることは取っているけれども、活用できていないのが現状です。
EUCサーバに対して誰がいつ接続したか、くらいしか分かりませんでした。
現状では活用できていませんが、今後ソフトバンクBBとしてのセキュリティポリシー上は必ずログを取って、しかるべきタイミングですぐに出せる、トレーサビリティができるというのが基本ポリシーになっています。しかし個々のDBの技術的な部分に入り込んでいくと、それができる技術者が今までいませんでした。
今回 InfoUnity を導入したのは、ログの管理も非常に容易ですよ、と。そこの部分の開示というか、確認の方法もすごく簡便なので、ある製品の特別な知識がなくても使えるという部分が大きいですね。
-今後はEUCサーバだけではなく、基幹システムにも直接つなげていかれるのでしょうか。
[お客様] 今のタイミングで基幹システムに直結は考えていないですね。やはりEUC側に全部データを持ってきて、そこを触らせると。ただEUCの弱点としては日次バッチというものがあって、当然リアルタイム性がないので、そのリアルタイム性のニーズが高まってくると、当然その直結なり、リアルなデータを触るっていう必要があるので、多分そことの兼ね合いだな、と思っています。
今後、よりスピーディな情報取得、それと情報分析、そこからの戦略化ということが必要になれば、そういったことを考えていく必要がありますね。よりスピーディな情報取得、店舗の実売の実績だとか、日々の売り上げデータのところは、実際にニーズがないわけではないので。「今実際に売り上げているのはいくらなんだ」、と。
トランザクションベースで、例えば基幹システムを見たら数字は分かるんだけど、全体管理している数字の中でどこまで進捗しているのかは、現状は手作業でないと分かりません。ボタンひとつで昨日までの実績と今日の実績を出して、まさに今、例えば17:10まででこの数字です、っていうのが欲しいっていうのは、ひょっとしたら今年度の終わりくらいまでには言われそうな雰囲気ですね。
-現在クライアントで使用されるアプリはAccessとExcelということですが、今後Webアプリを開発される予定とかはございますか。
[お客様] AccessとかExcelではなくて、画一的な集計のパターンをWebアプリで出すっていうのが今の流れだとは思っているんですが、開発リソースがちょっとないっていうのが正直なところです。
ただ今回 InfoUnity を入れることによって、もう一回その現場がやっている業務っていうものを、どんどん見直していくタイミングだと思っています。BPR(ビジネス・プロセス・リエンジアリング)って言うところまでいくかどうかは分からないけど、まずは統一的にやってみて、その結果みんなが使えるものはこっちに寄せましょう、と。また逆に、やはり人それぞれで、もしくはチーム単位で、ちょっと色が違うねということであれば、個別のユーザごとに特化したツールにしましょう、といったより分けを今後していくべきだというふうに思っています。
-単純にツールを入れて終わりということではなくて、これをきっかけに業務の方もどんどん変わっていくだろうと。
[お客様] そうですね。実際の業務分析と、それを再構築して、より効率的なかたちにすると。そのためのプラットフォームとして、今後 InfoUnity に期待しています。
ソフトバンクBB株式会社
http://www.softbankbb.co.jp
[所在地]
東京都港区東新橋1丁目9番1号
[代表者]
代表取締役社長 兼 CEO(最高経営責任者) 孫 正義
[設立]
2000年(平成12年)5月16日
[合併]
2003年(平成15年)1月7日
[資本金]
1,480億円(平成17年3月末現在)
[事業内容]
「Yahoo ! BB」を中核としたブロードバンドにおけるインフラや各種サービスの提供、および技術開発から営業、販売、サポートまでを一貫して行う。IT関連の流通事業とサービスを提供し、ブロードバンドやEコマースの関連事業会社を統括、管理する。